2021年7月17日 第4弾
Yさんと教員H先生からのメッセージ
Yさん 21才 男性
脊髄性筋萎縮症
生後二か月過ぎから24時間人工呼吸器を使用し、単純気管切開は生後4カ月で、カニューレ利用継続です。胃ろうを施しています。
コミュニケーションの方法は、眼球を上下(Yes)、眉間にしわをよせて(No)又、僅かに動く足先と眉間を使ってピエゾスイッチを操作し、テレビ、ipad、ゲーム、意思伝達装置(レッツチャット・トーキングエイド)を使いこなしています。
らっこのプール活動は、4才の時から参加させて頂いているので、今年で17年目になります。らっこ入会のきっかけはらっこの支援者をされていた訪問看護師さんからの紹介です。就学前からプール活動が出来ていたことで、本人も親も学校のプール授業を落ち着いて、準備万端で参加することが出来ました。
らっこの活動では、その年の活動が始まる前に、アンビュー講習をして頂きます。医師立ち合いのもと、保護者が子供の状態やアンビューバックの操作方法を説明し、数名の支援者の方に実際にアンビュー操作を実施して頂きます。また、入水中のアンビュー操作について、どのようにしたら安全であるかについて、話し合いを行います。このことにより、プール活動中、保護者以外でもアンビュー操作をして頂けるので、安全・安心感が高まり、また保護者が子供のハンドリングをしたり、プールサイドで吸引の準備などをすることが出来るので、大変ありがたいと感じています。
当日は看護師さんによるバイタルチェック、見守りもあり、更に安心感があります。
4才から始めている為、身体も大きく重くなりましたが、成長に合わせて、入水時における気管切開部の水の流入防止対策などについて、PTさんを中心に支援者と考えながら行って来ました。現在は、トラベルピローに首を乗せて、肩下にお風呂マットを当てています。 ※写真参照
本人の性格を熟知して頂いている、通園の先生や学校の先生方に支援者になって頂けたことは、本人も保護者も安心で楽しめる環境を作って頂けたと思っています。
それまで、特別支援学校のプール授業では、ガチガチに守られ抱きかかえられた水泳でしたが、先生がらっこ支援者になって頂いたことで、授業でも、水流や身体の軽さを感じる泳ぎが出来るようになりました。
らっこのプール活動の中のレクリエーションの時間では、本人が大好きな「野球やサッカー」をしたり、「競争」をしたりすることで、車イス上では体感出来ない、手足やお尻を動かし、重力から解放された中で、スポーツを楽しんでいます。また、プールで全身運動をしているせいか、排痰効果もあると思っており、帰宅後も、大変体調も安定していると感じています。
現在は学校も卒業し一般的なプールに入ることが出来ない子供にとって、様々な支援者の方に支えられ、仲間とプールを楽しむ時間は、とても貴重な体験であり、らっこのプールがあった日は親も満足感でいっぱいです。
プール活動とは別ですが、5才の時、らっこの会員と支援者の方々で下田の海中水族館へ一泊二日の旅行に行きました。アンビュー&抱っこで海に入り、イルカのジャンボ(とてもおとなしく優しいイルカでした)と触れ合ったり、砂浜までストレッチャーごと運んでもらい、支援者方々のウォーターボーイズ的なの出し物を観たりしました。家族としても忘れられないとても楽しい旅行でした。
出来ることなら、あの時の感動をもう一度経験してみたいです。






教員H先生からのメッセージ
Y君との出会いは、伊豆下田への1泊旅行でした。当時もっとも小さく、目がクリクリっとしていて、手の平に乗るようなイメージでした。下田海中水族館の「ジャンボ」というとてもやさしいイルカに触れることが最大の目標でした。支援者に囲まれながらひとりひとり順番に触れていきます。イルカの肌はつるつるではなく意外に抵抗があります。その感触はその場で触れた全員が今でも忘れていないと思います。とても頭の良い優しいイルカで、頸部背側の呼吸孔での呼吸を水面上に保ちつつ、「さあどうぞ」と言わんばかりに静止してくれたのを今でも思い出します。ホテルにチェックインしてから波が寄せる砂浜に出て、本物の海水にもつかりました。プールと違い波しぶきが上がり、そのたびに歓声が沸き上がっていました。家族とPT、OT、看護師、教員等の支援者が一緒になって、同じ時間を共有できたことの素晴らしさを感じました。
らっこに参加するようになって数年経ち、私は縁があってかY君の通う特別支援学校へ異動しました。自分が所属する高等部へ入学してきた頃には、随分体も大きくなっていました。担任の先生も、らっこの活動に参加してくれて、学校でのプール活動にもフィードバックすることができました。学校でも同じような水泳活動へつなげられ安心して水泳活動ができたのは、教員のらっこ活動への参加があったからだと思います。水流を利用したリラクセーションや重力を感じないプールでの自発的な本人の動き等、気管切開をしている生徒もプールの活動を通して、体を動かしたり、楽しい表情を見せてくれることを他の教員にも見てもらうことができ、プール活動の重要性を見直すいい機会になりました。
Y君はピエゾスイッチを利用してレッツチャットを使いこなしコミュニケーションをとります。国語の授業では、言葉の学習をしたり、詩を作ったりしました。ときどき、Y君らしくあまのじゃくな回答をしたり、同じ言葉を連呼するなど、言葉あそびを楽しみました。そんな、Y君も学校を卒業し今では立派な社会人。初めて会った時からおよそ15年。参加される方々の信頼関係は、より強固になり安心して水泳活動に望むことができています。
残念ながら、今はコロナ禍によりらっこの活動ができませんが、Y君の好きな水上での競争や野球ゲーム等を他のらっこさんと一緒に楽しみたいと、今から心待ちにしています。

(補足2)
医療的ケア研修(アンビュウー講習会)はメディカルコントロールされている
この呼吸補助支援研修システムは、当事者の要望で誕生した。保護者依頼に基づき、特定ボランティア(看護師を除く特定の入水支援者)が保護者立ち会いの下で医師により講習を受ける。講習を受け許可を得た者が医療的ケアを実施する場合は、保護者同席とする。緊急避難的な要因もある。尚、当日の医療的ケア実施カードを含め、各関連書類は整備している。
(補足3)
水泳支援補助具の開発
らっこたちの専用水着の開発(2001年読売愛と光の事業団愛のプレゼント研究助成)と共に、らっこたちがアクアの世界で、スイマーとしての積極的なSWIMを実現するための水泳補助具を検討し、開発してきた。